ビジネスホテル集客成功事例｜OTA依存から脱却し、自社予約とリピーターを増やす実践ノウハウ
1. なぜ今「ビジネスホテルの集客戦略」が見直されているのか
ここ数年、ビジネスホテルを取り巻く環境は大きく変化しました。
出張・研修・学会・イベントなどの「ビジネス需要」に加え、インバウンド観光客やワーケーション、長期滞在ニーズなど、新しい需要も増えています。
一方で、
- OTAへの依存度が高く、手数料負けしてしまう
- 価格競争に巻き込まれ、「安さ」でしか勝負できない
- コロナ禍で一度落ちた稼働率が、なかなか元に戻らない
- 自社ホームページからの予約が少ない
- 平日は埋まるが、週末・連休・長期休暇に弱い
といった悩みを抱えるビジネスホテルも少なくありません。
本コラムでは、こうした課題を乗り越えたビジネスホテルの集客成功事例をもとに、
- SEO・MEOを活用した集客の仕組みづくり
- OTAと自社サイトのバランス戦略
- 法人・長期滞在・インバウンドなど、ターゲット別の販売戦略
- リピーターを増やすための顧客体験設計
といったポイントを、実際の数字を交えながら詳しく解説していきます。
2. ビジネスホテルの集客でよくある課題と失敗パターン
2-1. OTA頼みで「新規は増えるが利益が残らない」
ビジネスホテル集客で最も多いのが、
**「新規の予約は入るが、結局OTAの手数料ばかりが増えて利益が残らない」**というパターンです。
- 予約の7〜9割がOTA経由
- 自社ホームページはほぼ更新されていない
- 検索しても公式サイトより先にOTAページが表示される
- 料金はOTAに合わせるだけで、戦略的なプラン設計がない
この状態では、売上は上がっても粗利率は下がり、
経営が安定しにくくなってしまいます。
2-2. 平日は埋まるが週末が弱い「ビジネス一辺倒」問題
ビジネスホテルという名前の通り、
- 平日の法人需要は比較的安定している
- 大企業・地場企業・官公庁などの出張用途が中心
という特徴がありますが、**週末や大型連休の「レジャー・観光需要」**を取り切れていないケースが多く見られます。
- カップル・家族向けプランが弱い
- 観光コンテンツの情報発信が不足
- 写真も「仕事感」が強く、くつろぎイメージが伝わらない
結果として、
「曜日による稼働率のブレが大きく、年間を通じた売上・利益が伸び悩む」状態になりがちです。
2-3. 価格競争に巻き込まれ「安かろう悪かろう」イメージに
OTA上での比較が当たり前になったことで、
- 競合が値下げ → それに合わせて値下げ
- キャンペーン・タイムセール頼みの集客
- 価格だけで選ばれるため、クチコミも安定しない
という「価格競争スパイラル」に陥ってしまう事例も多くあります。
しかし、お客様が本当に求めているのは**「最安値」ではなく「価格に見合った価値と安心感」**です。
ここに気づき、戦略を変えたビジネスホテルほど、集客が安定し始めています。
3. 成功事例①：駅前ビジネスホテルが自社予約比率を2倍にしたSEO戦略
3-1. ホテル概要と課題
- 駅徒歩3分のビジネスホテル（客室80室）
- 主なターゲットは単身ビジネス客、平日の稼働率は平均80％前後
- 課題は「OTA比率が高く、粗利が残りにくい」こと
当時の予約構成は、
- OTA経由：全体の約75％
- 自社HP経由：15％
- 電話・法人契約：10％
という状況でした。
「稼働はある程度埋まっているのに、利益が残らない」という悩みからスタートし、
“自社ホームページからの予約を増やす” ためのSEO対策に着手しました。
3-2. まず取り組んだ「キーワード戦略」
最初に行ったのは、ターゲット顧客が実際に検索しているキーワードの洗い出しです。
例えば以下のようなキーワードを想定して調査しました。
- 「〇〇駅 ビジネスホテル」
- 「〇〇市 出張 ホテル」
- 「〇〇駅 素泊まり 安い」
- 「〇〇市 長期滞在 ホテル」
- 「〇〇駅 大浴場付き ホテル」
これらをもとに、メインキーワード＋ニーズキーワードの組み合わせで
専用のランディングページ（特集ページ）を作成していきました。
ページ例
- 「〇〇駅徒歩3分｜出張に便利なビジネスホテル〇〇」
- 「工事・長期出張の方へ｜月単位でお得な長期滞在プラン」
- 「大浴場で1日の疲れをリセット｜〇〇駅周辺で大浴場付きビジネスホテルをお探しの方へ」
3-3. コンテンツ制作のポイント
SEO対策用のコンテンツでは、以下の点を徹底しました。
- 検索ユーザーの不安・疑問に先回りして答える文章
- チェックイン・チェックアウト時間
- 駐車場の有無・料金
- 最寄り駅からのアクセス方法（写真付き）
- 周辺の飲食店情報・コンビニ情報
- ビジネス利用で喜ばれる設備の紹介
- 全室Wi-Fi・有線LAN対応
- デスク・コンセントの配置
- 加湿機能付き空気清浄機
- ズボンプレッサー・ランドリーコーナー
- 「仕事終わりの疲れを癒せる」要素の訴求
- 大浴場・サウナの写真
- 枕やマットレスのこだわり
- 朝食バイキングの内容・地元食材
これらを、単なる施設紹介ではなく、
**「出張者の1日の流れ」**に沿ってストーリーで紹介することで、
ユーザーが滞在イメージを描きやすくなるよう工夫しました。
3-4. 成果：6ヶ月で自社予約比率が15％ → 30％に
SEO対策とコンテンツの充実を行った結果、
- 検索順位が「〇〇駅 ビジネスホテル」で1ページ目上位に
- 自社HPへの自然検索流入が約180％増加
- 自社予約比率が15％ → 30％にアップ
- OTA手数料を抑えつつ、売上・利益ともに増加
特に効果的だったのが、
- 「〇〇駅 長期出張 ホテル」
- 「〇〇市 工事関係者 宿泊」
など、ややニッチなキーワード向けの特集ページでした。
競合が少ない分、上位表示しやすく、成約率も高くなります。
4. 成功事例②：郊外ビジネスホテルが「法人専用プラン」で平日稼働を安定化
4-1. ホテル概要と課題
- インターチェンジ近くの郊外型ビジネスホテル（客室60室）
- 周囲に工業団地や物流倉庫が多く、出張・工事関係者の需要が見込めるエリア
- 課題は「法人利用が単発で終わり、継続的な契約につながらない」こと
単発予約の多くはOTA経由で、
- 同じ会社の人が何度も予約しているのに、毎回OTA経由
- 価格も日によって違い、経理処理が面倒
という不満が法人側にもありました。
4-2. 法人専用ページ＋問い合わせ導線の設置
そこで行ったのが、**「法人契約専用ページ」**の新設です。
ページでは、
- 法人・団体向けの特別料金
- まとめて請求書払いが可能な旨
- 連泊・長期滞在時の特別プラン
- 駐車場・トラック駐車可否、朝食時間などの詳細
- 工事関係者・研修・スポーツ団体など、利用シーン別の事例
をわかりやすく記載し、
ページ下部には**「法人契約ご相談フォーム」**を設置しました。
4-3. 既存顧客へのアプローチとMEOの活用
同時に、既に繰り返し利用してくれている企業に対して、
- チェックイン時に法人契約のご案内を手渡し
- 会社の総務担当者宛に、案内書とURLを送付
- Googleビジネスプロフィールに「法人・長期滞在歓迎」の文言を追記
といった地道な取り組みを実施。
これにより、
- 「〇〇市 工事関係者 ホテル」
- 「〇〇インター近く 長期滞在 ホテル」
といった検索で、自社サイトとGoogleマップの両方からの問い合わせが増加しました。
4-4. 成果：法人契約社数3倍、平日稼働率90％超えへ
取り組み開始から1年で、
- 法人契約社数：5社 → 15社に増加
- 平日稼働率：平均70％台 → 90％前後で安定
- OTA経由の法人予約が大幅減少
- 請求書払いに切り替わったことで、企業側の満足度も向上
「法人専用プラン」という**“窓口”を明確につくり、情報を整理して発信しただけで、大きく流れが変わった成功事例**です。
5. 成功事例③：地方都市のビジネスホテルがインバウンド需要を取り込み稼働率120％相当へ
5-1. ホテル概要と課題
- 地方都市中心部にあるビジネスホテル（客室100室）
- これまでは国内ビジネス客が中心
- 課題は「オフシーズンの稼働率」と「単価の上げづらさ」
近年、近隣の観光地に海外からの旅行者が増えていたものの、
- 公式サイトは日本語のみ
- OTAの説明文・写真も日本語中心
- スタッフも「インバウンドは大手シティホテルが取るもの」という意識
となっており、積極的な集客は行えていませんでした。
5-2. 多言語対応と写真の刷新
そこで取り組んだのが、
- 公式サイトの多言語化（英語・簡体字・繁体字）
- 客室・朝食・周辺観光の写真を撮り直し
- Googleマップ・OTAページの説明文を多言語で最適化
という施策です。
特に意識したのは、
「海外旅行者が不安に思うポイントを、写真と言葉で丁寧に伝える」こと。
- バス・電車でのアクセス案内（写真付きマップ）
- 最寄りコンビニ、両替可能な場所、ドラッグストア情報
- 朝食で提供している和食・洋食のイメージ
- Wi-Fiの品質、コインランドリー、荷物預かり
などを、シンプルな英語・中国語で分かりやすく表示しました。
5-3. インバウンド向けSEOとローカルガイド的コンテンツ
また、インバウンド向けのSEOとして、
- 「〇〇 city business hotel near station」
- 「〇〇 city hotel near sightseeing spot」
- 「〇〇 city budget hotel for long stay」
などのキーワードを意識した英語ページを作成。
さらに、
- 「1 day trip model course from our hotel」
- 「Top 5 local restaurants you must try」
といったローカルガイド的なブログ記事を定期的に発信しました。
5-4. 成果：オフシーズンの稼働が安定し、単価もアップ
その結果、
- インバウンド比率：全体の5％ → 25％程度まで増加
- オフシーズンの稼働率が大幅改善
- 週末・連休は平均単価を10〜15％アップしても稼働が落ちない
という状態に。
「ビジネスホテルだから海外旅行者は来ない」と決めつけず、
“駅近・リーズナブル・清潔・アクセス良好”という強みを
多言語でしっかり伝えたことが成功のポイントと言えます。
6. 成功ホテルに共通する「SEO・MEO」の考え方
ここまでの成功事例に共通しているのは、
“お客様が検索している言葉で、
自社の魅力やプランをわかりやすく発信している”
という非常にシンプルなことです。
6-1. ビジネスホテルにおすすめのSEOキーワード例
エリアにもよりますが、代表的なものを挙げると、
- 「〇〇駅 ビジネスホテル」
- 「〇〇市 出張 ホテル」
- 「〇〇駅 素泊まり」
- 「〇〇市 長期滞在 ホテル」
- 「〇〇市 工事関係者 宿泊」
- 「〇〇インター 近く ホテル」
- 「〇〇市 スポーツ合宿 ホテル」
- 「〇〇市 大浴場 ビジネスホテル」
などが挙げられます。
これらを単に羅列するのではなく、
- 1ページ1テーマで、検索意図にしっかり応える
- 「料金はいくらくらい？」「駐車場は？」「朝食は？」などの疑問に答える
- 写真・図・マップなどを活用して、視覚的にも伝える
ことが重要です。
6-2. MEO（Googleビジネスプロフィール）のポイント
ビジネスホテルの場合、
**Googleマップからの流入（MEO対策）**も非常に重要です。
- ホテル名で検索した時に、公式サイトへの導線をわかりやすく
- 写真は最新のものを複数掲載（外観・ロビー・客室・朝食・大浴場）
- 説明文に「ビジネス」「出張」「長期滞在」「インバウンド」などキーワードを盛り込む
- クチコミへの返信を丁寧に行う（特に不満コメントへの対応）
これだけでも、
「なんとなく無難なホテル」から
「安心して予約できるホテル」という印象に変わります。
7. すぐに実践できる「ビジネスホテル集客チェックリスト」
最後に、ビジネスホテルの集客・SEO対策として
すぐに見直せるポイントをチェックリスト形式でまとめます。
7-1. 自社ホームページ編
- ホテル名＋エリア名で検索したとき、公式サイトが1ページ目に表示されている
- 「〇〇駅 ビジネスホテル」「〇〇市 出張 ホテル」などのキーワード用に、専用ページを用意している
- 法人・長期滞在向けの専用ページと問い合わせフォームがある
- 多言語（少なくとも英語）対応ができている
- アクセスページが写真やマップでわかりやすく作られている
- 客室・大浴場・朝食・ロビーなどの写真が最新で、明るく清潔感がある
- ブログ・コラムで周辺情報やモデルコースなどを定期発信している
7-2. 料金・プラン編
- 「平日ビジネス」「週末レジャー」「長期滞在」「スポーツ団体」など、ターゲット別のプランが用意されている
- OTAと自社サイトで料金戦略を設計し、自社サイト限定の特典を用意している
- 連泊プラン・月単位プランなど、長期滞在に対応した料金設計がある
- 朝食付き・素泊まり・レイトチェックアウトなど、ニーズ別プランが整理されている
7-3. MEO・クチコミ編
- Googleビジネスプロフィールの情報（写真・説明文・営業時間など）が最新になっている
- クチコミに対して、マイナス評価も含めて丁寧に返信している
- よくある要望・不満を、サービス改善やFAQページに反映させている
- 「出張で利用」「長期滞在で便利だった」などの声を、サイトやパンフレットで紹介している
8. まとめ：成功事例から学ぶ、ビジネスホテル集客の本質
ビジネスホテルの集客では、
- OTAに頼りきりにならない「自社集客の仕組みづくり」
- 法人・長期滞在・インバウンドなど、ターゲット別の明確な打ち出し
- SEO・MEOを活用した情報発信と、写真・コンテンツの質の向上
- クチコミ・リピートを生む「価格以上の価値体験」
といったポイントが、成功事例に共通していました。
どのホテルも、
「特別な設備」や「圧倒的な資本力」があったわけではありません。
- すでにある立地・設備・サービスの“強み”を見直す
- お客様の検索行動から逆算して、情報発信を組み立てる
- 一つひとつの改善を積み重ねる
この地道な取り組みが、
結果として「集客成功事例」と呼べるほどの変化につながっています。
9. 貴社ビジネスホテルの集客を成功させるために
もし貴社のビジネスホテルが、
- OTA依存から抜け出したい
- 自社サイトからの予約を増やしたい
- 法人契約や長期滞在を安定的に獲得したい
- インバウンドや週末レジャー需要も取り込みたい
とお考えでしたら、
本コラムで紹介した成功事例の考え方を、ぜひ自社にも当てはめてみてください。
- まずは「どのターゲットを伸ばしたいのか」を明確にする
- ターゲットが実際に検索しそうなキーワードを洗い出す
- 1キーワード1ページのイメージで、専用コンテンツを作る
- Googleマップ・OTA・自社サイトの情報を統一し、魅力を磨き上げる
という流れで取り組めば、
大きな投資をかけなくても、着実に集客力を高めていくことが可能です。